医王山とは?金沢の奥座敷で楽しむ紅葉ハイキング

石川県金沢市の市街地からほど近く、「金沢の奥座敷」として市民に親しまれている「医王山(いおうぜん)」。手軽なハイキングから本格的な登山まで楽しめるこの山は、秋になると山全体が燃えるような色彩に包まれる、絶好の紅葉スポットに変わります。ここではまず、医王山がどのような山で、なぜ紅葉ハイキングに最適なのか、その魅力の基本をご紹介します。
- 
																								  
- 
															【2025】石川県でおすすめの紅葉名所7選と見頃時期予想【2025】石川県の紅葉見頃時期のエリア別予想 石川県は日本海に面し、霊峰白山から能登半島まで、豊かな自然環境が広がっています。 この多様な地形こそが、石川県の紅葉の魅力です。 高地から順に色づきが始 ... 続きを見る 
金沢市と富山県南砺市にまたがる山塊
医王山は、一つの山を指す名前ではなく、奥医王山(939m)と前医王山からなる山塊の総称です。その名の通り、古くは薬草の産地として知られていました。
石川県金沢市と富山県南砺市の県境に位置し、ブナの原生林をはじめとする豊かな自然が今もなお残されています。秋には、これらの木々が一斉に色づき、訪れるハイカーの目を楽しませてくれます。
初心者でも安心!多彩なハイキングコース
医王山の最大の魅力は、自分のレベルに合わせて、初心者から上級者まで誰もが楽しめる多彩なコースが整備されている点です。
「鳶岩(とんびいわ)」や「三蛇ヶ滝(さんじゃがたき)」といった絶景スポットを巡る、1~2時間ほどの気軽なハイキングコースは、登山初心者や家族連れにも大人気。一方で、複数のピークを踏破する本格的な縦走コースもあり、経験豊富な登山者も満足させます。気軽に紅葉の絶景を楽しみたい方から、しっかりと汗を流したい方まで、誰もが満足できる懐の深さが医王山の自慢です。
【2025年】医王山の紅葉の見頃はいつ?
金沢の奥座敷・医王山が、一年で最も美しい錦秋の衣をまとう季節。ハイキングの計画を立てるなら、絶景のピークを逃したくないものです。ここでは、例年の見頃の傾向と2025年のピーク予想、そしてお出かけ前に必ずチェックしたい最新情報の確認方法を解説します。
10月下旬から11月上旬がベストシーズン
医王山の紅葉は、例年10月中旬に山頂付近から色づき始め、見頃のピークを迎えるのは10月下旬から11月上旬にかけてです。金沢市街地や兼六園などに比べ、標高が高い分、一足早く秋の深まりを感じることができます。
ブナの森が広がる山肌は優しい黄金色に染まり、そこにカエデやウルシの鮮やかな赤や橙色が混じり合います。特に、鳶岩(とんびいわ)から見下ろす紅葉のパノラマは、この時期だけの特別な絶景です。
山頂から麓へ!紅葉リレーが楽しめる
医王山は標高差があるため、紅葉は山頂から麓へとリレーのように進んでいきます。
- 山頂エリア(奥医王山など):10月中旬~下旬
- 中腹エリア(鳶岩・三蛇ヶ滝など):10月下旬~11月上旬
- 麓エリア(ビジターセンター周辺):11月上旬~中旬
訪れる時期によって、また歩くコースによって、様々な表情の紅葉に出会えるのが医王山の魅力です。
2025年のピーク予想と最新の色づき状況の確認方法
2025年10月上旬現在、秋の気温は平年並みに推移する見込みです。そのため、紅葉の色づきも例年通りに進むと予想されます。2025年のピークは、10月最後の週末から11月の文化の日を挟んだ連休あたりとなる可能性が高いでしょう。
より正確な情報を得るためには、お出かけ前に以下の方法で最新の状況を確認するのがおすすめです。
- 医王山ビジターセンター、金沢市観光協会など:
 公式サイトで紅葉情報が発信されます。登山口の状況なども確認できます。
- 登山情報サイト・アプリ(YAMAPなど):
 登山者が投稿する活動日記(山行記録)には、写真と共にその日の登山道の状況や紅葉の進み具合が詳しく記録されており、非常に参考になります。
- SNS(InstagramやX):
 「#医王山」や「#医王山登山」のハッシュタグで検索すると、訪れた人のリアルタイムな投稿を見ることができます。
【初心者向け】定番の紅葉ハイキングコースと見どころ
医王山には数多くのハイキングコースがありますが、初めて訪れる方や、気軽に紅葉の絶景を楽しみたい方には、二大見どころである「鳶岩(とんびいわ)」と「三蛇ヶ滝(さんじゃがたき)」を巡る周遊コースが最もおすすめです。ここでは、その定番コースの見どころと詳細を解説します。
【見どころ①:鳶岩】スリル満点の展望台からの大パノラマ
医王山ハイキングのハイライトと言えるのが、「鳶岩」からの絶景です。山の斜面から突き出した巨大な岩が展望台になっており、その名の通り、まるで鳶(とんび)の視点で下界を見下ろしているかのような気分を味わえます。
岩の先端まではしごを使って登るため、足がすくむようなスリルがありますが、その先で待っているのは360度の大パノラマ。眼下には燃えるような紅葉の海が広がり、天気が良ければ遠く北アルプスの立山連峰や、白山、そして日本海までをも一望できます。
【見どころ②:三蛇ヶ滝】落差10mの滝と紅葉のコントラスト
鳶岩のダイナミックな景色とは対照的に、しっとりとした日本の秋の風情を感じさせてくれるのが「三蛇ヶ滝」です。うっそうとした森の中に現れる落差約10mの滝で、その昔、三匹の大蛇が住んでいたという伝説が残っています。
苔むした岩肌を白い絹のように流れ落ちる滝と、その周りを彩る真っ赤なモミジとのコントラストは、思わず息をのむほどの美しさ。静かな滝の音に耳を傾けながら、心癒される時間を過ごせるスポットです。
コースの所要時間とルート解説
この二大見どころを巡る定番の周遊コースは、医王山ビジターセンターや、そのすぐ近くの「覗(のぞき)」の登山口を拠点とします。
- コース:覗 → 三蛇ヶ滝 → 鳶岩 → 覗
- 所要時間:約2時間 ~ 2時間30分
- レベル:初心者向け
危険な箇所は少なく、登山初心者でも安心して楽しめるルートですが、あくまで登山道なので、歩きやすい靴と服装の準備は必須です。
【健脚向け】奥医王山・白兀山を目指す縦走コース
「鳶岩や三蛇ヶ滝だけでは物足りない」「もっと本格的な山歩きを楽しみたい」という健脚な方や登山経験者には、医王山の主峰を目指す縦走コースがおすすめです。より深く自然に分け入り、さらに雄大な景色に出会うことができます。
白兀山山頂からの日本海を望む絶景
このコースでは、鳶岩を通過し、さらに奥にある白兀山(しらはげやま)や、医王山の最高峰である奥医王山(おく-いおうぜん)を目指します。
白兀山の山頂からは、鳶岩よりもさらに開けた、遮るもののない大パノラマが広がります。眼下の紅葉はもちろん、金沢市街地の向こうに広がる日本海や、能登半島まではっきりと見渡すことができます。ブナの原生林が黄金色に輝く稜線を歩きながら、この絶景を目指すのは、このコースならではの醍醐味です。
コースの所要時間と注意点
医王山ビジターセンターを拠点に、白兀山や奥医王山を巡る周遊コースの所要時間は、約4時間~5時間が目安です。
【注意点】
こちらのコースは、初心者向けの鳶岩周遊コースとは異なり、アップダウンが多く、距離も長いため、健脚な登山経験者向けです。
- 装備:トレッキングシューズやザック、レインウェアといった本格的な登山装備が必須です。
- 計画:秋の日は短いため、必ず時間に余裕を持った計画を立て、早朝から登り始めましょう。
- 地図:分岐も多いため、地図やGPSアプリを必ず携行してください。
十分な準備をして、医王山の奥深い自然と紅葉を満喫しましょう。
登山口へのアクセスと駐車場情報
金沢の奥座敷・医王山へのアクセスは、登山口まで直接行ける車が最も便利ですが、公共交通機関も利用可能です。ただし、バスは本数が少ないため、事前の計画が必須となります。ここでは、各アクセス方法の詳細を解説します。
【車】金沢市中心部からのアクセス
医王山へのアクセスは、車が最も一般的で便利です。金沢市の中心部からは、山側環状道路などを経由し、約40分~50分で主な登山口に到着します。
ただし、登山口へ向かう最後の林道は、道幅が狭くカーブの多い山道です。秋は落ち葉で滑りやすくなっていることもあるため、運転には十分注意してください。
駐車場情報(医王山ビジターセンターなど)
医王山には、ハイカー向けの駐車場がいくつか整備されており、いずれも無料で利用できるのが嬉しいポイントです。
- 医王山ビジターセンター駐車場:約50台。トイレも完備されており、最も利用しやすい拠点です。
- 覗(のぞき)駐車場:約20台。三蛇ヶ滝や鳶岩への最短ルートの登山口です。
- 上坂(かみさか)駐車場:約20台。
紅葉シーズンの週末は、これらの駐車場も午前中には満車になることがあります。できるだけ早い時間に到着するか、乗り合わせて訪れるなどの工夫をおすすめします。
公共交通機関でのアクセス
公共交通機関を利用する場合、JR金沢駅が起点となります。
金沢駅東口のバス乗り場から、北陸鉄道バスの「医王山」行きに乗車し、終点の「医王山スポーツセンター前」などで下車します。所要時間は約50分~1時間です。
【最重要注意点】
この路線バスは、運行本数が1日に数本と極端に少なく、土日祝日のみの季節運行となる場合があります。利用を検討する場合は、訪問の直前に、北陸鉄道バスの公式サイトで最新の時刻表を必ず確認してください。計画を誤ると、帰りのバスがなくなる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
紅葉ハイキングの服装と持ち物
初心者でも楽しめる医王山ですが、安全に紅葉ハイキングを満喫するためには、しっかりとした準備が欠かせません。特に、秋の山の天気は変わりやすく、麓と山頂では気温も大きく異なります。ここでは、医王山の紅葉ハイキングに適した服装と、必須の持ち物について解説します。
10月でも山は冬の準備!服装のポイント
紅葉シーズンである10月下旬から11月上旬にかけて、医王山の山頂付近の気温は、日中でも10度を下回ることがあります。風が吹けば体感温度はさらに下がり、麓の金沢市街地とは全く違う、冬に近い寒さだと考えておきましょう。
服装の基本は、体温調節がしやすい「重ね着」です。
- 肌着:汗で体を冷やさないよう、速乾性のある化学繊維のものを選びましょう。綿のTシャツはNGです。
- 中間着:フリースや薄手のダウンなど、保温性のある服を重ねます。
- 上着:風を防ぐためのウィンドブレーカーや、念のためレインウェアも用意しましょう。
ズボンは伸縮性のある動きやすいものを選び、靴は必ず、滑りにくい登山靴(トレッキングシューズ)を履いてください。
必須の持ち物チェックリスト
日帰りハイキングでも、以下の持ち物は必ずザック(リュックサック)に入れていきましょう。
- □ 飲み物:スポーツドリンクや水など、1リットル以上を目安に。
- □ 行動食:チョコレートやナッツ、おにぎりなど、すぐにエネルギーになる軽食。
- □ 地図:スマートフォンのGPSアプリと併せて、紙の地図も持っていると安心です。
- □ ヘッドライト:万が一、下山が遅れて暗くなった場合の必需品です。
- □ レインウェア(雨具):山の天気は急変します。防寒着としても使えます。
- □ タオル:汗を拭くのに使います。
- □ ゴミ袋:ゴミは必ず全て持ち帰りましょう。
- □ 絆創膏などの救急セット
- □ 携帯電話・モバイルバッテリー
- □ 手袋・帽子:防寒対策として重要です。
まとめ|気軽に楽しむ、秋色の絶景ハイキングへ
この記事では、2025年の医王山の紅葉について、見頃の時期や初心者でも楽しめるハイキングコース、そしてアクセス方法や服装の注意点まで詳しく解説しました。
「金沢の奥座敷」として親しまれる医王山は、都心から少し足を延ばすだけで、本格的な自然と紅葉の絶景に出会える、魅力あふれる山です。見頃となる10月下旬から11月上旬にかけては、山全体が美しい秋色に染まります。
初心者向けのコースでも、スリル満点の「鳶岩」からの大パノラマや、趣のある「三蛇ヶ滝」といったハイライトを巡ることができ、満足度の高い山歩きが楽しめます。
ただし、気軽に楽しめる山とはいえ、しっかりとした登山靴や重ね着などの準備は安全のために欠かせません。ぜひこの記事を参考に準備を万全にして、医王山の素晴らしい秋景色を満喫しに出かけてみてはいかがでしょうか。
 
		
	
