【穴場】北陸地方で混雑が少ない穴場紅葉スポットまとめ

コラム

【穴場】北陸地方で混雑が少ない穴場紅葉スポットまとめ

なぜ北陸で「穴場の紅葉スポット」を探すべきなのか?

日本海と雄大な山々に抱かれた北陸地方(富山・石川・福井)は、四季折々の美しい表情を見せてくれますが、特に秋は格別です。山々は燃えるような色彩に染まり、歴史ある街並みや庭園は、しっとりとした秋の情緒に包まれます。

その美しさは全国的にも知られており、北陸を代表する紅葉スポットには、毎年、圧倒的な数の観光客が押し寄せます。しかし、その「人気」と「混雑」は常に表裏一体。私たちが求める「静かな秋の風情」は、時としてその喧騒にかき消されてしまいがちです。

黒部峡谷、兼六園、永平寺…超有名スポットの「大混雑」

例えば、富山県が誇る「黒部峡谷」。トロッコ電車から眺める絶景は唯一無二ですが、紅葉のピークシーズン、特に週末の欅平(けやきだいら)行き電車の予約は熾烈を極めます。当日券を求める人々で駅は溢れかえり、トロッコ電車の車内も満席。ゆっくりと景色を味わう余裕がないことも少なくありません。

石川県の「兼六園」も同様です。日本三名園の一つに数えられる庭園は、秋になるとライトアップも行われ、多くの人で賑わいます。しかし、人気の撮影スポットである「ことじ灯籠」周辺や、紅葉が見事な「山崎山」は、常に人だかりができ、静かに庭園美を鑑賞するのが難しい状況になることもしばしば。

福井県の「永平寺」も、荘厳な伽藍(がらん)と紅葉のコントラストを求めて多くの参拝者が訪れます。特に、約230枚の絵がはめ込まれた「傘松閣(さんしょうかく)」の天井絵と紅葉の写真を撮るために、長い列ができることも珍しくありません。

これらの素晴らしい名所を訪れるのはもちろん価値あることですが、「人混みに疲れてしまった」「渋滞で予定が狂ってしまった」という経験を避けるため、私たちは賢く「穴場」を探す必要があるのです。

「穴場」でしか出会えない、静かな加賀・越中・越前の秋景色

今回私たちがご提案する「穴場」とは、単に「有名ではない」場所ではありません。それは、北陸地方の持つ「奥深さ」や「多様性」を感じさせてくれる、静かで質の高い場所を指します。

黒部の影に隠れた、北アルプスの懐に抱かれた静寂のダム湖。兼六園の喧騒を離れた、加賀の山々が育んだ荘厳な渓谷美。永平寺とはまた違った、越前の山奥で、神秘的なまでに水面に紅葉を映す小さな池…。

そこにあるのは、観光客の喧騒ではなく、風の音、水の音、そして落ち葉を踏む自分の足音だけ。誰にも邪魔されず、「今、自分はこの絶景と一対一で向き合っている」と感じられる贅沢な時間。それこそが、穴場探しの最大の魅力です。

この記事では、大混雑を賢く避け、北陸3県の「本物の秋」をじっくりと味わいたいあなたのために、プロの目線で厳選した「本当に価値のある穴場」だけをご紹介していきます。

【県別】北陸3県の「本当に静かな」穴場紅葉スポット厳選

ここからは、富山・石川・福井の各県から、知る人ぞ知る、または訪問の仕方次第で「穴場」となる紅葉スポットをご紹介します。超有名スポットの喧騒を離れ、静かに秋の美しさと向き合える場所だけを厳選しました。

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(スポット例1)有峰湖(ありみねこ)と有峰林道

北アルプスの懐深く、標高1,000mを超える高地に広がる静寂のダム湖です。なぜここが穴場かというと、アクセスが有料の「有峰林道」に限られ、しかも冬期は閉鎖されるため、訪れる人が物理的に限られるからです。手つかずの広大なブナ原生林が色づき、それが静まり返った湖面に映り込む「逆さ紅葉」は、まさに秘境の絶景。ドライブだけでも価値があります。

(スポット例2)称名滝(しょうみょうだき)

日本一の落差(350m)を誇る滝として非常に有名ですが、黒部峡谷の影に隠れがちです。ここを「穴場」として楽しむ秘訣は、「平日の早朝」に訪問すること。日中は駐車場が満車になり、展望台も混雑しますが、早朝であれば人もまばら。轟音と共に水しぶきを上げる滝の迫力と、周囲の断崖を彩る紅葉のコントラストを、ほぼ独り占め状態で堪能できます。

(スポット例3)宮島峡(みやじまきょう)

小矢部市にある、地元の人々に愛される穏やかな渓谷です。「あやや峡」とも呼ばれ、「一の滝」「二の滝」といった小さな滝や奇岩が点在し、それらが紅葉に彩られます。立山や黒部のような圧倒的なスケール感はありませんが、そのぶん観光地化されておらず、静かな川のせせらぎを聞きながら遊歩道をのんびりと散策できる、心安らぐ穴場スポットです。

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(スポット例1) 鶴仙渓(かくせんけい)

山中温泉の温泉街に沿って流れる渓谷です。風情ある「こおろぎ橋」周辺は写真スポットとして非常に混雑します。しかし、そこから遊歩道を「あやとりはし」方面へ、さらにその奥へと歩を進めると、人通りはぐっと少なくなります。S字型の斬新なデザインの「あやとりはし」と紅葉の組み合わせや、川床カフェの喧騒を離れた場所で、渓流の音と共に静かな秋を楽しめます。

(スポット例2)白山白川郷ホワイトロード(石川県側)

石川県と岐阜県を結ぶ、かつて有料だった山岳ドライブウェイです(※現在は無料化社会実験中などの場合あり、要確認)。全長が長く、標高差が激しいため、紅葉の見頃が山頂から麓へと長期間にわたって移動するのが特徴。人が一箇所に集中しにくく、「天空のドライブ」を楽しみながら、各所の展望台で広大な紅葉を味わえます。特に「ふくべの大滝」など、滝とのコラボレーションが見事です。

(スポット例3)手取峡谷(てどりきょうこく)

白山市にある、手取川の浸食によって作られたダイナミックな峡谷です。高さ20m〜30mの断崖絶壁が約8kmにわたって続き、その岩肌を紅葉が彩る様は迫力満点。那谷寺(なたでら)ほどの知名度はないため、比較的静かです。特に、落差32mを誇る「綿ヶ滝(わたがたき)」周辺は、滝壺の近くまで下りることができ、迫力ある景色を間近で楽しめます。

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(スポット例1) 刈込池(かりこみいけ)

福井県を代表する「秘境の穴場」です。なぜ秘境かと言えば、アクセスするまでの道が非常に狭く、駐車場からさらに20〜30分ほど山道を歩く必要があるため。このアクセスのハードルの高さが、人を寄せ付けません。しかし、その先に待っているのは、白山連峰の三ノ峰(さんのみね)を水面に映し出す、神秘的なまでの「水鏡」。静寂の中で、完璧なリフレクションを見た時の感動は計り知れません。

(スポット例2)九頭竜湖(くずりゅうこ)

岐阜県との県境に近い、九頭竜ダムによってできた広大な人造湖です。湖が非常に大きいため、人が一箇所に密集することがありません。湖に架かる「夢の架け橋(箱ヶ瀬橋)」は絶好の撮影スポットですが、むしろ国道158号線をドライブしながら、車窓に流れる湖と山々の雄大な紅葉をゆったりと楽しむのがおすすめです。広大さゆえの「混雑しない」穴場と言えます。

(スポット例3)万葉の里 味真野苑(あじまのえん)

越前市にある、万葉集ゆかりの歴史的な庭園です。永平寺のような荘厳さや、越前大野城のような派手さはありませんが、しっとりとした日本の秋の風情を感じるには最適の場所。継体天皇ゆかりの地ともされ、歴史を感じさせる石碑や歌碑が点在する園内を、美しく色づいたモミジやカエデが彩ります。文学と歴史に思いを馳せながら、静かに散策できる大人のための穴場です。

北陸の穴場紅葉を最大限に楽しむための3つの秘訣

北陸地方の穴場スポットは、その土地ならではの気候や地理的な特徴があります。せっかくの旅を最高のものにするために、訪れる前に知っておきたい「3つの秘訣」をご紹介します。これらを準備しておくだけで、旅の快適さと安全性が格段に向上します。

1. 「弁当忘れても傘忘れるな」北陸の天候と服装・装備

北陸地方には「弁当忘れても傘忘れるな」という有名な言葉があります。これは、一日の中でも天候が非常に変わりやすく、晴れていたかと思えば急に雨が降り出す「時雨(しぐれ)」が多いことを意味しています。

紅葉シーズンである秋も例外ではありません。むしろ、山間部では天候がさらに不安定になります。必ず、信頼できる防水性のあるレインウェア(上下セパレートが望ましい)を携帯してください。折りたたみ傘だけでは、風も伴う山間部の雨には対応しきれません。

服装も重要です。日本海から冷たい風が吹くことも多く、朝晩の冷え込みは厳しいものがあります。特に有峰湖や刈込池といった標高の高い場所は、平地よりも5〜10℃は気温が低いと考えるべきです。フリースや薄手のダウンなど、着脱しやすい防寒着で体温調節ができるように準備しましょう。

そして足元は、必ず防水性のあるトレッキングシューズか、滑りにくいスニーカーを。渓谷の遊歩道や山道は、濡れた落ち葉で驚くほど滑りやすくなっています。万全の装備が、快適な穴場探訪の第一歩です。

2. 「穴場=山奥」の法則。山道の運転と「熊」対策

ご紹介した穴場の多く、特に富山の有峰湖や福井の刈込池は、「山奥」に位置します。なぜそこが穴場なのかと言えば、「アクセスが困難」だからに他なりません。

現地へ至る道は、車一台がやっと通れるほどの狭い林道であったり、ガードレールのない断崖沿いの道であったりすることが珍しくありません。ご自身の運転技術を過信せず、日の高いうちに余裕を持ったスケジュールで向かうことが重要です。また、山間部では携帯電話の電波が届かない「圏外」エリアも多いため、オフラインでも使える地図アプリを準備しておくと安心です。

そして、北陸の山々(特に白山麓)で忘れてはならないのが「熊(ツキノワグマ)との遭遇リスク」です。紅葉シーズンは、熊が冬眠前に活発にエサを探す時期と重なります。人の気配が少ない穴場スポットでは、必ず熊よけの鈴を携帯し、音を鳴らしながら歩くこと。早朝や夕方の単独行動は特に注意が必要です。安全に楽しむための、最低限のマナーとして心得ておきましょう。

3. 紅葉とセットで!解禁直後の「カニ」と「名湯」で旅を締める

北陸の秋が特別な理由は、紅葉だけではありません。紅葉がピークを迎える11月上旬、それは北陸が誇る冬の味覚の王様、「ズワイガニ(越前ガニ、加能ガニなど)」の漁が解禁される時期と見事に重なります。

日中は山々で燃えるような紅葉を静かに楽しみ、夜は宿で解禁されたばかりの新鮮なカニ料理に舌鼓を打つ。これは、この時期に北陸を訪れた者だけが享受できる、最高の贅沢プランです。紅葉だけでなく、ぜひ旬のグルメも旅の目的に加えてみてください。

さらに、北陸は「名湯」の宝庫でもあります。山中温泉(鶴仙渓)、芦原温泉(あわら温泉)、和倉温泉など、歴史ある温泉地が点在しています。紅葉狩りで少し冷えた体を、日本海を望む露天風呂や、総檜造りの湯船でゆっくりと温める…。紅葉とカニ、そして名湯。この「三種の神器」を組み合わせることで、あなたの北陸の旅は、忘れられない完璧なものになるはずです。

まとめ:静かな北陸で、あなただけの特別な秋色体験を

今回は、「混雑が少ない北陸地方の穴場紅葉スポット」として、富山・石川・福井の3県から、知る人ぞ知る隠れた名所と、その楽しみ方の秘訣をご紹介してきました。

黒部峡谷のトロッコ電車、兼六園のライトアップ、永平寺の荘厳な伽藍…。これらの北陸を代表する紅葉スポットは、確かに素晴らしいものです。しかし、そのあまりの人気の高さゆえに、私たちはゆっくりと景色を味わう「心の余裕」を失いがちです。

この記事でご提案したのは、そうした喧騒から一歩離れた場所にある「もう一つの北陸の秋」です。

アクセスの困難さと引き換えに手に入れる、福井・刈込池の神秘的なまでの「水鏡」。北アルプスの懐深く、静寂に包まれた富山・有峰湖の「逆さ紅葉」。温泉街の賑わいを抜けた先にある、石川・鶴仙渓の「渓流沿いの静かな散策路」。これらこそが、人混みの中では決して得られない、あなただけの「特別な秋色体験」ではないでしょうか。

もちろん、その貴重な体験は、北陸ならではの準備があってこそ最大限に輝きます。ご紹介した3つの秘訣—「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉に代表される天候対策(雨具と防寒着)、山奥へ向かうための慎重な運転計画と熊対策、そして旅の満足度を完璧なものにする、解禁直後の「カニ」と「名湯」という最高の組み合わせ。

これらの準備を整え、万全の体制で臨むことで、あなたの北陸の旅は、単なる紅葉狩りを超えた、五感すべてが満たされる深い思い出となるはずです。

今年の秋は、ぜひいつものルートを外れ、静かな北陸の奥地で、あなただけの特別な秋色を探しに出かけてみてください。この記事が、その素晴らしい旅の羅針盤となれば幸いです。

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