清津峡とは?アートに生まれ変わった日本三大峡谷

新潟県十日町市に位置する「清津峡(きよつきょう)」。インスタグラムなどのSNSで、水鏡に映る幻想的な写真が世界的に有名になりましたが、その背景には、雄大な自然の歴史と、現代アートの力が融合した物語があります。ここではまず、清津峡がどのような場所なのか、その2つの大きな魅力をご紹介します。
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黒部峡谷・大杉谷と並ぶ日本三大峡谷の一つ
清津峡は、富山県の「黒部峡谷」、三重県の「大杉谷」と並び、「日本三大峡谷」の一つに数えられる景勝地です。国の名勝・天然記念物にも指定されています。
最大の見どころは、「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれる、角柱状の荒々しい岩肌。これは、大昔の火山活動で冷え固まった溶岩が、規則的な割れ目を作ったもので、ダイナミックなV字谷の絶景を生み出しています。エメラルドグリーンに輝く清津川の流れと、そそり立つ断崖絶壁が織りなす雄大な自然美が、清津峡の本来の姿です。
「大地の芸術祭」で生まれたアート作品「Tunnel of Light」
かつては落石の危険から遊歩道が閉鎖され、渓谷美を安全に眺めるためのトンネルがあるだけでした。そのトンネルが、2018年に開催された世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有 アートトリエンナーレ」を機に、一つの壮大なアート作品として生まれ変わりました。
中国出身の建築家マ・ヤンソン率いる「マッド・アーキテクツ」が手がけたこの作品は「Tunnel of Light」と名付けられました。全長750mのトンネル全体を、自然の五行(木・土・金・火・水)をモチーフにしたアート空間へと改修。終点のパノラマステーションの水鏡は、このアート作品のクライマックスであり、清津峡を世界的な絶景スポットへと押し上げた立役者なのです。
【2025年】清津峡の紅葉の見頃はいつ?
アート作品として生まれ変わった清津峡渓谷トンネル。その最奥にあるパノラマステーションから眺める紅葉は、まさに絶景の一言です。雪深い地域にあるため、首都圏の紅葉名所よりも一足早く見頃を迎えます。ここでは、2025年のベストシーズンと、お出かけ前に役立つ最新情報の確認方法を解説します。
10月中旬から11月上旬がベストシーズン
清津峡の紅葉は、例年10月上旬に色づき始め、ピークを迎えるのは10月中旬から11月上旬にかけてです。ブナやナラ、カエデ、ウルシといった木々が、荒々しい柱状節理の岩肌を赤や黄色、オレンジの鮮やかな色彩で染め上げます。
特に、トンネルの終点から見えるV字谷の景色全体が、錦秋のパノラマとなるこの時期は、一年で最も多くの観光客が訪れるベストシーズンです。
2025年のピーク予想と最新の色づき状況の確認方法
2025年10月上旬現在、秋の気温は平年並みに推移する見込みです。そのため、紅葉の色づきも例年通りに進むと予想されます。2025年のピークは、10月の第3週から11月の第一週にかけてとなる可能性が高いでしょう。
より正確な情報を得るためには、お出かけ前に以下の方法で最新の状況を確認するのがおすすめです。
- 清津峡渓谷トンネル 公式サイト:
現在の紅葉の状況や、トンネルの混雑状況、予約情報などがリアルタイムで更新されます。訪問前には必ず確認しましょう。 - 十日町市観光協会 公式サイト:
「ほくほく、十日町。」のサイトで、市内の紅葉スポットの一つとして色づき情報が発信されます。 - SNS(InstagramやX):
「#清津峡」や「#清津峡渓谷トンネル」のハッシュタグで検索するのが、最もリアルタイムな情報を得るのに有効です。訪れた人が投稿した最新の写真で、現在の色づき具合を正確に把握できます。
【最大の見どころ】水鏡に映る紅葉!パノラマステーション
清津峡渓谷トンネルを訪れるほぼ全ての人が、この景色を見るためにやって来ると言っても過言ではありません。全長750mのトンネルの終点にある「パノラマステーション」は、自然の雄大さとアートが完璧に融合した、世界的に有名な絶景スポットです。
トンネルの最奥にある絶景スポット
3つの見晴所を経て、トンネルの一番奥にたどり着くと、そこが終点の「パノラマステーション」です。半円状に開けた空間の壁と天井には歪んだステンレス板が張り巡らされ、外の景色や人々が不思議な形に反射し、それ自体がアート空間となっています。
そして、その先に広がるのが、V字形に切り取られた清津峡の大渓谷。秋には、柱状節理の荒々しい岩肌を、赤や黄色の紅葉が鮮やかに彩る、息をのむほど美しい風景が広がります。
水鏡(みずかがみ)に反射する紅葉と渓谷美
このスポットを唯一無二の存在にしているのが、足元に張られた「水鏡(みずかがみ)」です。浅い水盤が床一面に広がり、外の景色を完璧に反射させます。
風のない穏やかな日には、水面に映る紅葉の渓谷と、現実の渓谷とが繋がり、幻想的な円形の風景を創り出します。まるで自分が景色の中に溶け込んでしまったかのような、不思議な浮遊感を味わえる、まさに感動的な体験です。
絶景写真を撮るためのコツとマナー
SNSでよく見る、人がシルエットになった美しい写真を撮るには、いくつかのコツとマナーがあります。
- コツ①:水鏡の先端まで歩く
最も美しい反射が見られるのは、水鏡の先端部分です。靴やズボンの裾が濡れることを覚悟の上で、水の中を歩いて先端まで進みましょう。裸足になるか、タオルを持参するのがおすすめです。 - コツ②:シルエットを意識する
外が明るく、トンネル内が暗いため、人物は自然とシルエットになります。空や渓谷を背景に、ポーズをとって、自分だけの作品を撮ってみましょう。 - マナー:譲り合いの心を持つ
先端の撮影スポットは非常に狭く、週末は行列ができます。一人が長時間独占することなく、譲り合って撮影を楽しみましょう。また、水鏡を走ったり、水を跳ね上げたりすると、他の人の迷惑になるため絶対にやめましょう。
トンネル内の他の見どころとアート作品
終点のパノラマステーションがあまりにも有名ですが、そこに至る全長750mのトンネル自体も「Tunnel of Light」という一つのアート作品です。自然の五行思想(木・土・金・火・水)をモチーフにしており、歩を進めるごとに色や音が変化し、五感を刺激します。ここでは、パノラマステーション以外の3つの見晴所と、トンネル内部の演出についてご紹介します。
3つの見晴所から眺める渓谷の姿
パノラマステーションの前には、3つの「見晴所」があり、それぞれ異なる角度から清津峡の渓谷美を鑑賞できます。
- 第一見晴所:
トンネルに入って最初に現れる展望台。ここから見える清津峡の雄大な柱状節理の岩肌は圧巻で、これからの絶景への期待感を高めてくれます。 - 第二見晴所:
外壁がマジックミラーになった、メタリックなトイレが設置されたユニークな空間。中からは外の景色が見えますが、外からは中の様子が見えない仕組みです。ここから眺める紅葉もまた格別です。 - 第三見晴所:
「火」をモチーフにした、赤く揺らめく光で演出された幻想的な展望台です。壁に設置された複数の丸窓から、燃えるような赤色の光と共に渓谷の紅葉を眺める、不思議な体験ができます。
色や音が変化するトンネル内部の演出
見晴所と見晴所をつなぐトンネル通路も、単なる通路ではありません。各見晴所のテーマに合わせて、通路全体が様々な色の照明で照らし出され、異なる環境音楽(アンビエント・ミュージック)が流れています。
青や緑、オレンジといった光の中を歩いていると、まるで異世界を探検しているかのような気分に。単調になりがちなトンネル歩きを、飽きさせないための工夫が随所に凝らされています。これらの演出を楽しみながら、ゆっくりと終点のパノラマステーションを目指しましょう。
【最重要】入坑料金とオンラインでの事前予約方法
清津峡渓谷トンネルを訪れる上で、現在最も重要なのが「事前予約」のシステムです。SNSでの人気沸騰による大混雑を緩和するため、週末や連休を中心に、オンラインでの事前予約・購入が必須となりました。これを知らずに訪れて、トンネルに入れなかった…という事態を避けるために、必ずこの章の内容を理解しておきましょう。
入坑料金(大人・小中学生)
清津峡渓谷トンネルの入坑料金は以下の通りです。(※2025年秋時点での目安)
- 大人(高校生以上): 1,000円
- 小・中学生: 400円
- 未就学児: 無料
週末や連休は事前予約が必須!予約方法を解説
紅葉シーズンを含む、土曜日・日曜日・祝日、その他GWなどの繁忙期は、オンラインでの事前予約・チケット購入が必須となります。
予約は、外部の予約サイト(アソビュー!など)を通じて行われます。清津峡渓谷トンネルの公式サイトに予約サイトへのリンクがあるので、そこからアクセスするのが確実です。予約手順は以下の通りです。
- 公式サイトから予約サイトへアクセスする。
- 希望の「日付」と「時間帯(30分ごとのスロット)」を選択する。
- 必要情報を入力し、クレジットカードなどで決済を完了させる。
- 当日は、発行されたQRコードをスマートフォンの画面に表示し、受付で提示して入坑します。
紅葉シーズンの週末は、希望の時間帯が早くに売り切れてしまうため、予定が決まり次第、早めに予約することをおすすめします。
予約なしで入れる場合もある?
通常の平日(月~金)は、事前予約なしで、現地の受付でチケットを購入して入坑することができます。
また、事前予約が必要な週末や祝日であっても、時間帯ごとの予約枠に空きがあれば、当日その場でスマートフォンから予約・購入して入坑することも可能です。しかし、紅葉シーズンのピーク時はほとんどの枠が埋まってしまうため、当日券があるとは考えず、必ず事前に予約を済ませてから向かうようにしましょう。
アクセス・駐車場情報|越後湯沢駅からバスで
清津峡は山間部に位置するため、アクセス方法の事前確認が非常に重要です。特に公共交通機関を利用する場合は、バスの本数が限られているため、綿密な計画が必須となります。ここでは、主なアクセス方法と、混雑時の注意点について解説します。
【電車・バス】越後湯沢駅からのアクセスが基本
公共交通機関を利用する場合、上越新幹線の「越後湯沢駅」が起点となります。
越後湯沢駅の東口から、南越後観光バスの「森宮野原駅」行きに乗車し、「清津峡入口」バス停で下車します。所要時間は約25分です。ただし、ここからが注意点で、バス停から清津峡渓谷トンネルの入口までは、徒歩で約30分かかります。
また、路線バスの運行本数は1日に数本と非常に少ないため、特に帰りのバスの時刻は必ず事前に確認し、乗り遅れないように行動しましょう。
【車】関越道「塩沢石打IC」から|駐車場の注意点
時間を気にせず自由に訪れたい場合は、車でのアクセスが便利です。関越自動車道の「塩沢石打IC」で降り、国道353号線などを経由して約25分で到着します。
トンネル入口周辺には、第1~第3駐車場まで合計約150台以上を収容できる無料駐車場があります。しかし、紅葉シーズンの週末は、午前中の早い時間帯に満車になることがほとんどです。満車の場合は、離れた臨時駐車場に案内されることもありますので、時間に余裕を持って向かいましょう。
紅葉シーズンの混雑状況と回避のポイント
事前予約制の導入により、トンネル内部の混雑はある程度緩和されています。しかし、紅葉シーズンの週末は、駐車場やトンネルまでの道、そしてトンネル入口の受付が大変混雑します。
この混雑を避けるためには、以下の点が有効です。
- 平日に訪れる:最も確実で効果的な方法です。
- 朝一番の予約枠を狙う:週末であれば、開坑直後の午前8時台~9時台の予約枠を取ることで、道路渋滞や駐車場待ちを避けやすくなります。
まとめ|アートと紅葉が融合した感動体験を

この記事では、2025年の清津峡の紅葉について、見頃の時期や最大の見どころであるパノラマステーション、そして訪問に必須の予約方法まで詳しく解説しました。
日本三大峡谷の雄大な自然美と、世界的なアート作品「Tunnel of Light」が融合した清津峡。秋には、渓谷全体が燃えるような色彩に染まり、トンネルの最奥にある「パノラマステーション」では、水鏡に映る息をのむほど美しい紅葉が待っています。
見頃は10月中旬から11月上旬。この時期の週末や祝日に訪れる際は、オンラインでの事前予約が必須なので、忘れないようにしましょう。
自然の力と人の創造力が一体となった、唯一無二の感動体験。ぜひこの記事を参考に、記憶に残る美しい秋の風景を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。