懐古園とは?日本唯一の「穴城」で楽しむ紅葉

長野県小諸市に位置する「小諸城址 懐古園」。桜の名所として全国的に有名ですが、秋になると園内が燃えるような色彩に染まり、春とはまた違う、しっとりとした美しい表情を見せてくれます。その独特の地形と、歴史が育んだ景観は、他の城郭公園とは一線を画す魅力に満ちています。
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城下町より低い位置にある珍しい城郭
懐古園の最大の特徴は、日本で唯一の「穴城(あなじろ)」であることです。一般的なお城が、防御のために丘の上など高い場所に築かれるのに対し、小諸城は城下町よりも低い位置に城の本丸が構えられています。
これは、千曲川が大地を深く削ってできた断崖絶壁を天然の要塞として利用した、巧みな設計によるもの。園内に入ると、城の中心部へ向かって下っていくという、全国でも珍しい体験ができます。
「日本100名城」にも選ばれた歴史的価値
懐古園は、「日本100名城」や「日本の歴史公園100選」にも選定されている、非常に歴史的価値の高い場所です。
戦国時代には武田信玄の軍師・山本勘助が関わったとされ、江戸時代には仙石秀久によって近代的な城郭として整備されました。「懐古園」という名は、小諸で教鞭をとった文豪・島崎藤村が、千曲川の古城を詠んだ詩に由来しています。
苔むした石垣と紅葉のコントラスト
懐古園の秋を象徴するのが、苔むした野趣あふれる石垣と、燃えるような紅葉との見事なコントラストです。
長い年月を経て緑の苔に覆われた石垣の落ち着いた色合いが、カエデやモミジの鮮やかな赤色を一層引き立てます。華やかさの中に、どこか「わびさび」を感じさせる、日本情緒あふれる風景が、懐古園の紅葉の最大の魅力と言えるでしょう。
【2025年】懐古園の紅葉の見頃はいつ?
苔むした石垣と紅葉のコントラストが美しい懐古園。その絶景を最高のタイミングで楽しむために、まずは紅葉の見頃の時期をしっかりと把握しておきましょう。ここでは、例年の傾向から導き出す2025年のベストシーズンと、お出かけ前に役立つ最新情報の確認方法について詳しく解説します。
10月下旬から11月中旬がベストシーズン
懐古園の紅葉は、例年10月中旬頃から園内のケヤキなどが色づき始め、カエデやモミジが見頃のピークを迎えるのは10月下旬から11月中旬にかけてです。
この時期になると、園内全体が赤、黄、橙の鮮やかな色彩で染め上げられます。特に、園内一のモミジ群生地である「紅葉ヶ丘」が、その名の通り燃えるような赤色に包まれるのがこのベストシーズン。毎年この時期に合わせて「もみじまつり」も開催され、多くの人で賑わいます。
2025年のピーク予想と最新の色づき状況の確認方法
2025年10月上旬現在、秋の気温は平年並みに推移する見込みです。そのため、紅葉の色づきも例年通りに進むと予想されます。2025年のピークは、11月上旬の文化の日を挟んだ連休あたりとなる可能性が高いでしょう。
より正確な情報を得るためには、お出かけ前に以下の方法で最新の状況を確認するのがおすすめです。
- こもろ観光局の公式サイト:
懐古園がある小諸市の観光局が、紅葉の見頃情報を「色づき始め」「見頃」「落葉盛ん」といった形で詳しく発信します。最も信頼できる情報源です。 - 懐古園の公式SNS(Facebookなど):
園内のスタッフが撮影した、日々の紅葉の進み具合がリアルタイムで発信されることがあります。 - SNSのハッシュタグ検索:
Instagramなどで「#懐古園」や「#懐古園の紅葉」と検索すると、訪れた人の最新の写真を見ることができ、現在の色づき具合を判断するのに非常に役立ちます。
【必見】もみじまつりと「光の紅葉じゅうたん」ライトアップ
懐古園の秋を一層深く、そして幻想的に楽しめるのが、紅葉の見頃に合わせて開催される「小諸城址懐古園もみじまつり」です。期間中は様々なイベントが催されますが、そのハイライトは、他では決して見ることのできない、ユニークで美しい夜間ライトアップです。
2025年「小諸城址懐古園もみじまつり」開催概要(予想)
「もみじまつり」は、例年、紅葉が最も美しくなる時期に合わせて開催されます。2025年も、10月下旬から11月下旬にかけての約1か月間、開催される可能性が高いでしょう。
そして、期間中の週末などを中心に、夜間の特別開園とライトアップが行われます。詳細な日程や時間は10月頃に「こもろ観光局」の公式サイトで発表されるため、お出かけ前には必ず最新情報をご確認ください。
足元が輝く!幻想的なライトアップ
懐古園のライトアップが特別なのは、木々を見上げるだけでなく、足元に広がる光景が主役である点です。
メイン会場となる「紅葉ヶ丘」では、散策路に敷き詰められたモミジの落ち葉の下にLEDライトを設置。これにより、まるで地面そのものが内側から発光しているかのような、「光の紅葉じゅうたん」が出現します。
頭上ではライトアップされた紅葉が輝き、足元では光る落ち葉の絨毯がどこまでも続く。この天地が紅葉の光に包まれるような体験は、唯一無二。まさに幻想的という言葉がふさわしい、感動的な空間です。
期間中のイベントや注意点
まつり期間中の週末には、地元の特産品を販売する物産展や、甲冑隊の演武、コンサートなど、様々なイベントが開催され、園内は賑わいを見せます。
【注意点】
- 料金:ライトアップは、日中の入園料とは別に、夜間特別料金(例:500円程度)が必要です。
- 防寒:11月の信州の夜は、冬のように冷え込みます。ダウンジャケットや手袋、帽子など、しっかりとした防寒対策をしてお出かけください。
紅葉の見どころとおすすめ散策&撮影スポット
日本唯一の「穴城」である懐古園は、その独特の地形を活かした、変化に富んだ紅葉スポットが点在しています。苔むした石垣と紅葉が織りなす「わびさび」の風景から、燃えるような赤色に包まれる華やかな場所まで、園内散策で見逃せない4つの見どころをご紹介します。
【紅葉ヶ丘】園内随一のモミジ群生地
懐古園で最も華やかな紅葉が楽しめるのが、動物園の奥に広がる「紅葉ヶ丘」です。その名の通り、一帯にはモミジやカエデの木が密集しており、見頃の時期には燃えるような深紅の空間に変わります。
遊歩道を歩けば、頭上から紅葉のシャワーが降り注ぎ、足元は落ち葉の絨毯で埋め尽くされます。夜間ライトアップ「光の紅葉じゅうたん」のメイン会場でもあり、昼も夜も必見の、園内随一の紅葉スポットです。
【馬場】ケヤキ並木とモミジのトンネル
三の門から本丸へ向かってまっすぐに伸びる「馬場(ばば)」は、かつて馬の訓練が行われた場所。現在は、広々とした並木道になっており、絶好の散策路です。
秋には、ケヤキの黄色や橙色と、モミジの赤色が美しいグラデーションを描き出し、色鮮やかなトンネルを作り出します。特に、西日に照らされて黄金色に輝く時間は格別です。
【黒門橋・富士見台】石垣と紅葉の王道ビュー
懐古園の秋を象徴するのが、苔むした石垣と紅葉のコントラストです。その美しい光景を堪能できるのが、かつての大手門へ続く「黒門橋(くろもんぱし)」周辺。深い緑の苔と、歴史を感じさせる石垣、そして真っ赤なモミジが織りなす風景は、懐古園ならではの「わびさび」を感じさせます。
また、本丸跡にある「富士見台」からは、眼下に広がる園内の紅葉と、天気が良ければ遠くに富士山を望むことができます。
【懐古神社】もみじに囲まれたパワースポット
本丸跡に鎮座する「懐古神社」は、歴代の小諸城主を祀る神社です。この神社の周辺にも見事なモミジの木があり、静かで神聖な雰囲気の中、ゆっくりと紅葉を鑑賞することができます。
朱色の鳥居と真っ赤な紅葉の組み合わせは、写真映えも抜群。散策の途中でぜひ立ち寄り、旅の安全を祈願してみてはいかがでしょうか。
アクセス・駐車場情報|小諸駅から徒歩3分
懐古園の大きな魅力の一つが、その抜群のアクセスの良さです。主要駅から歩いてすぐという、電車での訪問に非常に便利な立地にあります。ここでは、電車と車、それぞれのアクセス方法と、紅葉シーズンの混雑について解説します。
【電車】しなの鉄道・JR「小諸駅」からすぐ
懐古園へのアクセスは、電車が最も便利で圧倒的におすすめです。最寄り駅は、しなの鉄道とJR小海線が乗り入れる「小諸駅」。
駅の改札を出ると、目の前に懐古園の入口「三の門」が見えます。そこから園内の料金所までは、徒歩わずか3分ほど。新幹線が停まる軽井沢駅や佐久平駅からのアクセスも良く、車の運転や駐車場の心配をすることなく、気軽に訪れることができます。
【車】上信越道「小諸IC」からのアクセスと駐車場
車で向かう場合、最寄りのインターチェンジは上信越自動車道の「小諸IC」で、そこから約15分で到着します。
駐車場は、懐古園に隣接して市営の有料駐車場(懐古園駐車場・大手門駐車場など)が整備されています。ただし、収容台数には限りがあり、紅葉まつりが開催される週末は、午前中の早い時間帯から満車になることも珍しくありません。
紅葉シーズンの混雑状況と回避のコツ
もみじまつり期間中の週末、特にライトアップが行われる夕方から夜にかけては、多くの人で賑わいます。
とはいえ、敷地が広いため、昼間の散策で歩けないほどの混雑になることは稀です。混雑のピークは、やはり駐車場の確保。週末に車で訪れる場合は、午前中の早い時間に到着するのが安心です。最も快適に楽しみたい方は、平日に訪れるか、公共交通機関を利用することをおすすめします。
入園料金と開園時間について
懐古園の散策を楽しむために、最後に入園料金と開園時間を確認しておきましょう。園内には有料の施設もあり、チケットの種類が分かれています。また、もみじまつり期間中は夜間特別開園も行われます。
散策券と各施設との共通券
懐古園の入園チケットには、いくつかの種類があります。(※2025年秋時点での目安)
- 散策券:
園内の紅葉散策のみを楽しむための基本的なチケットです。
料金:大人 300円 / 小・中学生 100円 - 共通券:
散策券の内容に加え、園内にある「藤村記念館」「小諸義塾記念館」「徴古館」、そして「動物園」にも入場できるチケットです。
料金:大人 500円 / 小・中学生 200円
紅葉の鑑賞が主な目的であれば、散策券で十分楽しむことができます。
開園時間と「もみじまつり」期間中の夜間開園
- 通常開園時間:
午前8時30分 ~ 午後5時 - もみじまつり期間中の夜間開園(ライトアップ):
例年、まつり期間中の週末を中心に、夜間特別開園が行われます。
時間:日没 ~ 午後9時頃まで
料金:夜間特別料金(大人500円など)が別途必要です。日中のチケットでは入場できないためご注意ください。
ライトアップの詳しい開催日や料金については、必ず「こもろ観光局」の公式サイトで最新情報を確認してからお出かけください。
まとめ|歴史と光、紅葉が織りなす感動体験を

この記事では、2025年の小諸城址 懐古園の紅葉について、見頃の時期や見どころ、そして「もみじまつり」のライトアップからアクセス方法まで詳しく解説しました。
日本で唯一の「穴城」である懐古園は、苔むした石垣と燃えるような紅葉が見事なコントラストを描き出す、日本情緒あふれる名所です。見頃となる10月下旬から11月中旬にかけては、園内全体が華やかな秋色に染まります。
特に、まつり期間中に開催される「光の紅葉じゅうたん」ライトアップは、足元から光り輝く紅葉が広がる、他では決して見ることのできない幻想的な体験です。
小諸駅から徒歩3分という抜群のアクセスも魅力。ぜひこの記事を参考に、歴史と自然、そして光が融合した、懐古園ならではの感動的な秋の一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。