【2025年】十勝岳温泉郷の紅葉はいつが見頃?日本一早い紅葉を解説

北海道の屋根、大雪山国立公園の南西部に位置する活火山・十勝岳。その中腹にある十勝岳温泉郷は、温泉とともに「日本一早い紅葉」が楽しめる場所として、多くの登山客や観光客に愛されています。本州ではまだ真夏のような暑さが残る頃、ここではいち早く秋が訪れ、山肌が燃えるような色彩に染まります。そのダイナミックな景観は、まさに「神々の庭」と呼ぶにふさわしい美しさです。
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2025年の見頃はいつから?例年の傾向と最新予測
十勝岳温泉郷の紅葉は、例年9月中旬に色づき始め、9月下旬には見頃のピークを迎えます。標高が高いため、日本で最も早く紅葉シーズンが到来する場所の一つです。
2025年も例年通り9月20日前後にピークを迎えました。この記事を執筆している10月8日現在、山腹を彩った紅葉シーズンはすでに終了し、山頂付近では初雪も観測されるなど、麓も冬支度を始める季節へと移り変わっています。来年の紅葉狩りの計画を立てる際は、9月中旬から下旬という非常に早い時期を念頭に置いておくことが重要です。
なぜ日本一早い?標高1,200mが織りなす天空の紅葉
十勝岳温泉郷の紅葉がこれほど早い理由は、その標高の高さにあります。温泉郷の中心は標高約1,280mに位置し、夏でも涼しいこの場所では、秋の訪れと共に気温が一気に低下します。この厳しい自然環境が、美しい紅葉を生み出すのです。
また、ここの紅葉は一般的な森の木々だけではありません。ナナカマドやウラシマツツジといった低木や、地面を這うように広がる高山植物のチングルマなどが、まるでパッチワークのように山肌を赤や黄色、橙色に染め上げます。ハイマツの深い緑と火山灰の白が混ざり合う独特のコントラストは、厳しい環境の火山帯ならではの絶景です。
現在の紅葉状況をリアルタイムで確認する方法
見頃が非常に短い十勝岳の紅葉を確実に楽しむためには、来年以降、情報収集が鍵となります。
- かみふらの十勝岳観光協会の公式サイト
上富良野町の観光協会が、紅葉シーズンの状況を写真付きで発信しています。最も信頼できる情報源です。 - 凌雲閣など温泉宿の公式サイト
北海道で最も高所にある温泉宿「凌雲閣」の公式サイトなどでは、宿からのリアルタイムな景色がブログで更新されることがあります。 - SNSでの検索
InstagramやX(旧Twitter)で「#十勝岳温泉」や「#望岳台」と検索するのも有効です。来年の計画を立てる際は、過去の同じ時期の投稿を参考にすると、ピークの時期を予測しやすくなります。
紅葉に染まる天空の露天風呂!おすすめ温泉3選
十勝岳温泉郷を訪れる最大の魅力、それは日本一早い紅葉を眺めながら温泉に浸かるという、この上なく贅沢な体験ができることです。標高1,200mを超える高地に点在する温泉は、それぞれに個性があり、異なる趣で絶景を楽しませてくれます。ここでは、紅葉シーズンの訪問ならずとも、一度は訪れたい天空の温泉を3つ厳選してご紹介します。
①【凌雲閣】北海道で最も高所にある絶景温泉
「凌雲閣(りょううんかく)」は、北海道で最も標高の高い場所(1,280m)にある温泉宿として知られています。その最大の魅力は、露天風呂から望む圧巻のパノラマビューです。眼下には広大な富良野盆地が広がり、正面には荒々しい十勝岳連峰の山肌が迫ります。
秋には、この山肌が赤や黄色のパッチワークのように染まり、まるで絵画の中にいるかのような気分に。ひんやりと澄んだ山の空気の中、茶褐色にごる源泉かけ流しの湯に体を沈めれば、まさに至福のひととき。日帰り入浴も可能なので、気軽にこの絶景を堪能することができます。
②【吹上温泉保養センター白銀荘】ワイルドな山岳温泉
登山者や温泉ファンから絶大な支持を集めるのが、上富良野町営の温泉施設「白銀荘(しろがねそう)」です。ここは、野趣あふれる山岳温泉の雰囲気を存分に味わえる場所。水着着用で入る混浴の露天風呂が有名で、広々とした岩風呂が段々畑のように配置されています。
目の前には、ハイマツの緑とナナカマドの赤に彩られた十勝岳の斜面が広がり、大自然と一体になるかのような開放感がたまりません。もちろん、男女別の内湯や露天風呂も完備されています。宿泊施設(避難小屋)も併設されており、登山の拠点としても利用されています。
③【吹上露天の湯】無料で楽しめる野趣あふれる秘湯
白銀荘から少し下った森の中に、知る人ぞ知る秘湯「吹上露天の湯」があります。ここは、かつて人気ドラマ『北の国から』のロケ地にもなった場所で、無料で24時間いつでも入浴できるのが最大の魅力です。
脱衣所も簡単なものしかなく、岩で囲んだだけの湯船がいくつかあるのみ。まさに大自然そのものがお風呂というワイルドな温泉です。秋には、周囲の木々が色づき、紅葉に囲まれながら源泉かけ流しの湯を楽しめます。最低限のマナーを守りながら、自然への感謝と共に利用したい特別な場所です。
ドライブで楽しめる紅葉絶景スポット
十勝岳温泉郷の魅力は、温泉宿や本格的な登山者だけのものではありません。車でアクセスできる展望台や、気軽に立ち寄れる滝など、ドライブ観光でもその壮大な紅葉を存分に楽しむことができます。ここでは、車で巡ることができる紅葉の絶景スポットをご紹介します。
①【望岳台】噴煙を上げる十勝岳と紅葉の大パノラマ
十勝岳温泉郷から少し下った標高930m地点にある「望岳台」は、噴煙を上げる荒々しい十勝岳の姿を最も間近に望める展望台です。駐車場も完備されており、車を降りてすぐに、目の前に広がる大パノラマを楽しむことができます。
9月下旬の紅葉ピーク時には、眼下の広大な裾野がナナカマドやダケカンバで赤や黄色に染まり、息をのむような美しさを見せます。10月上旬現在、望岳台周辺の紅葉のピークは過ぎていますが、火山礫の荒涼とした風景と晩秋の色彩が混ざり合う、この時期ならではの力強い景色が広がっています。運が良ければ、山頂の初冠雪と紅葉の終わりが重なる貴重な光景に出会えるかもしれません。
②【白ひげの滝】青い川と紅葉のコントラスト
望岳台から美瑛側に少し下った白金温泉街にあるのが「白ひげの滝」です。ここは、標高が少し下がるため、紅葉の見頃が望岳台よりも少し遅く、例年10月上旬から中旬にかけてが最も美しい時期となります。
崖の岩盤の間から地下水が白いひげのように流れ落ちる珍しい滝で、その水が美瑛川に注ぎ込み、コバルトブルーの美しい流れを生み出しています。この滝の白、川の青、そして周囲の木々の赤や黄色が織りなす色彩のコントラストは必見です。滝の上にかかる「ブルーリバーブリッジ」から、その絶景を手軽に眺めることができます。
③十勝岳スカイラインのドライブコース
これらの絶景スポットを結ぶ道道966号線、通称「十勝岳スカイライン」は、道そのものが紅葉の見どころです。白金温泉から望岳台、そして十勝岳温泉郷へと続くこの道は、標高を上げるにつれて、車窓の風景が刻々と変化していくのが魅力です。
麓のシラカバ林の黄葉から、中腹のナナカマドの赤色、そして森林限界付近のハイマツの緑まで、様々な種類の木々が次々と現れ、訪れる人の目を楽しませてくれます。まるで紅葉のグラデーションの中を駆け抜けていくような、爽快なドライブが体験できます。
登山者向け|登山道から望む神々の庭の紅-葉
展望台や温泉からでも十分に美しい十勝岳の紅葉ですが、体力に自信のある方は、登山道を少し歩くだけで、さらに壮大な景色に出会うことができます。車ではアクセスできない領域に足を踏み入れることで、まさに「神々の庭」と称される大雪山系の自然の奥深さを体感できるでしょう。
望岳台からの登山コースと見どころ
最も一般的なのが、望岳台を起点とする十勝岳登山コースです。山頂までの本格的な登山は十分な装備と経験が必要ですが、登山道を30分から1時間ほど歩くだけでも、展望台とは全く異なる視点からの絶景が広がります。
登山道は森林限界を超えたガレ場やザレ場が中心で、視界を遮るものがありません。歩みを進めるにつれて、眼下に広がる紅葉のパッチワークはより一層壮大になり、美瑛や富良野の丘陵地帯まで見渡せるようになります。体力に合わせて無理のない範囲で楽しむ「ミニトレッキング」もおすすめです。
高山植物チングルマの紅葉
十勝岳の紅葉の主役の一つが、高山植物の女王とも呼ばれる「チングルマ」です。夏には可憐な白い花を咲かせるこの植物は、秋になると葉が真っ赤に色づき、地面に広がる赤い絨毯のような美しい草紅葉となります。
チングルマの紅葉は特に早く、例年9月上旬から中旬に見頃を迎えます。ナナカマドの赤色とはまた違う、燃えるような真紅の色彩は、厳しい自然環境でしか見ることのできない貴重な光景です。
登山時の服装と注意点
紅葉シーズンの十勝岳登山には、細心の注意が必要です。特に10月上旬以降は、気象条件が非常に厳しくなります。
【重要】この時期の安易な入山は非常に危険です
この記事を執筆している10月上旬現在、山頂付近ではいつ雪が降ってもおかしくありません。快適な紅葉登山のシーズンは9月下旬で終了しており、現在は冬山登山の領域に入っています。降雪や路面凍結の可能性が非常に高く、初心者向けのハイキングは推奨されません。
もしこの時期に入山する場合は、以下の装備が必須です。
- 服装:フリースやダウンなどの防寒着、防水防風性に優れたアウター(上下)、冬用の帽子や手袋など、万全の防寒対策。
- 足元:防水性の高い登山靴。路面凍結に備え、軽アイゼン(チェーンスパイク)を携行してください。
- その他:ヘッドランプ、熊鈴、温かい飲み物、行動食、登山計画書の提出は必須です。
天候の急変にも常に備え、無理のない計画を立ててください。
十勝岳温泉郷へのアクセスと駐車場情報
十勝岳温泉郷は、大雪山国立公園の奥深く、標高1,000mを超える高地に位置しています。そのため、アクセス方法は限られており、事前の計画が非常に重要となります。ここでは、車と公共交通機関、それぞれのアクセス方法と駐車場の情報について詳しく解説します。
車でのアクセス(美瑛・富良野からのルート)
温泉郷へのアクセスは、美瑛町または上富良野町を起点とするのが一般的で、車(マイカー・レンタカー)の利用が最も便利です。道道966号線は「十勝岳スカイライン」とも呼ばれる絶景ルートです。
- 美瑛市街から
JR美瑛駅周辺からは、白金温泉方面へ向かい、道道966号線で山を登ります。望岳台までの所要時間は約50分が目安です。 - 富良野市街・上富良野町から
JR富良野駅や上富良野駅周辺からは、道道291号線などを経由して十勝岳温泉方面へ。上富良野駅からの所要時間は約50分です。
いずれのルートも全線舗装されていますが、カーブの多い山道です。特に10月上旬以降は、朝晩の冷え込みによる路面凍結の恐れがあるため、運転には細心の注意を払ってください。
各施設の駐車場と混雑状況
望岳台や各温泉施設には、それぞれ無料の駐車場が完備されています。
- 望岳台:約100台収容可能な広い駐車場があります。紅葉のピークである9月下旬の週末は満車になることもありますが、10月に入ると混雑は比較的緩和されます。
- 凌雲閣、白銀荘:それぞれの施設に宿泊者・日帰り入浴客用の駐車場があります。
- 吹上露天の湯:入口近くに数台分の駐車スペースがあります。
ピーク時を過ぎれば、駐車場の心配はそれほど必要ありませんが、週末は混み合うこともあるため、時間に余裕を持って行動しましょう。
公共交通機関(バス)でのアクセスについて
車の運転ができない方でも、本数は少ないですが公共交通機関でアクセスすることが可能です。
JR上富良野駅前にあるバス停から、上富良野町営バス「十勝岳温泉郷」行きが運行しています。このバスは「吹上温泉(白銀荘入口)」や、終点の「凌雲閣前」に停車します。
ただし、バスの便数は1日に3~4本と非常に限られています。利用する場合は、必ず事前に上富良野町の公式サイトで最新の時刻表を確認し、乗り遅れることのないよう、綿密な計画を立ててください。特に、帰りの最終バスの時間は必ず把握しておきましょう。
服装と合わせて訪れたい周辺観光スポット
十勝岳温泉郷への旅は、その周辺に広がる美瑛・富良野エリアの観光と組み合わせることで、より一層充実したものになります。ただし、そのためにはまず、現地の厳しい気候に対応できる服装の準備が不可欠です。ここでは、万全の服装のポイントと、合わせて訪れたい珠玉の観光スポットをご紹介します。
冬の備えが必要!現地の気候と服装のポイント
紅葉シーズン終盤の10月上旬以降、十勝岳温泉郷の気候は「秋」というよりも「冬」に近づきます。標高1,200mを超えるエリアの気温は、日中でも5℃前後までしか上がらず、朝晩は氷点下になるのが当たり前です。いつ雪が降ってもおかしくない季節だと心得ましょう。
そのため、秋の服装ではなく、初冬のスキー場へ行くような完全な防寒対策が必須です。風を通さない厚手のダウンジャケットや冬用コートを必ず用意してください。また、体温を奪われやすい手先や耳、首元を守るため、手袋・冬用の帽子・マフラーやネックウォーマーも欠かせません。足元も、保温性と防水性のある冬用の靴が望ましいです。万全の準備で、快適に絶景を楽しみましょう。
合わせて立ち寄りたい美瑛・白金エリアの観光地
十勝岳温泉郷は、世界的に有名な観光地・美瑛エリアへの玄関口でもあります。
- 白金青い池
今や北海道を代表する絶景スポットとなった「青い池」。その名の通り、神秘的なまでに青い水面が特徴です。紅葉のピークは過ぎていますが、10月中旬から下旬にかけては、池の周囲のカラマツが黄金色に輝き、青い水面との幻想的なコントラストを生み出します。十勝岳の紅葉とはまた違う、晩秋の美しい風景に出会えます。 - 美瑛の丘(パッチワークの路・パノラマロード)
十勝岳の麓に広がる、なだらかな丘陵地帯。夏とは違い、作物の収穫を終えた畑が広がる秋の丘は、茶色や麦わら色といった落ち着いた色彩のパッチワーク模様を描き出します。派手さはありませんが、秋の柔らかな日差しに照らされた丘の風景は、どこか物悲しく、心に深く染み渡る美しさがあります。
まとめ:十勝岳で温泉と紅葉の贅沢なコラボレーションを体感しよう

今回は、2025年の十勝岳温泉郷の紅葉について、見頃の時期から温泉、絶景スポットまで詳しくご紹介しました。
「日本一早い紅葉」と「天空の温泉」の組み合わせは、日本広しといえども、ここでしか味わうことのできない唯一無二の体験です。荒々しい活火山の息吹を感じながら、錦に染まる山肌を眺め、源泉かけ流しの湯に浸かる。それはまさに、五感で大自然を味わう究極の贅沢と言えるでしょう。
その絶景に出会えるのは、9月中旬から下旬という、非常に短い期間に限られます。2025年の紅葉シーズンは終了しましたが、この記事を参考に、来年の計画を立ててみてはいかがでしょうか。万全の防寒対策と計画で、天空の楽園があなたを待っています。