【2025】尾瀬（尾瀬ヶ原）の紅葉の見頃時期や見どころを解説

【2025年】尾瀬の紅葉 見頃はいつ？（尾瀬ヶ原・尾瀬沼）

日本最大の高層湿原、尾瀬。その秋は、一般的な紅葉とは全く異なる、特別な美しさを見せてくれます。

尾瀬の紅葉の主役は、モミジやカエデといった木々の「赤」ではありません。広大な湿原を埋め尽くす草々が、一斉に黄金色へと変わる「草紅葉（くさもみじ）」です。

標高が1,400mから1,700mにもなる高地のため、その見頃は本州でも最も早い時期に訪れます。「いつ訪れるか」によって、見られる景色が全く異なるため、尾瀬ヶ原と尾瀬沼、そして周辺の山々の見頃時期をしっかり把握しておきましょう。

尾瀬ヶ原の「草紅葉」の見頃【9月中旬～10月上旬】

尾瀬の象徴とも言える「尾瀬ヶ原」の草紅葉は、例年9月中旬頃から色づきが始まります。

そして、湿原全体がまるで黄金色の絨毯を敷き詰めたかのような圧巻の景色になるピークは、9月下旬から10月上旬にかけてです。この時期、どこまでも続く木道（もくどう）を歩けば、360度すべてが黄金色の世界に包まれます。

「神様の絨毯」とも称されるこの景色は、晴れた日には青空とのコントラストが息をのむ美しさです。2025年も、例年通り9月下旬が見頃のピークになると予想されます。

尾瀬沼の「草紅葉」の見頃【9月中旬～10月上旬】

尾瀬ヶ原と並ぶもう一つのハイライト「尾瀬沼」の草紅葉も、尾瀬ヶ原とほぼ同時期、9月中旬から10月上旬に見頃を迎えます。

尾瀬沼の魅力は、草紅葉だけでなく、背景にそびえる雄大な「燧ケ岳（ひうちがたけ）」と、静かな沼の水面（みずも）とのコンビネーションです。

黄金色に染まった湿原の草、青く澄んだ沼の水、そして赤や黄色に色づき始めた燧ケ岳の山肌が織りなす風景は、尾瀬ヶ原とはまた違った、より絵画的な美しさがあります。

周辺の山々（至仏山・燧ケ岳）の紅葉【9月下旬～10月中旬】

尾瀬の秋は、草紅葉だけで終わりません。草紅葉がピークを迎える9月下旬頃から、周囲の山々（至仏山、燧ケ岳）の木々も色づき始めます。

特に、ダケカンバ（岳樺）の白い幹と黄色の葉、ナナカマドの鮮やかな赤色が、黄金色の湿原に彩りを添えます。

草紅葉が終盤を迎える10月上旬から中旬にかけては、鳩待峠（はとまちとうげ）周辺や、山々の斜面が紅葉・黄葉のピークを迎えます。このように、尾瀬では約1ヶ月にわたり、標高や場所を変えながら「紅葉のリレー」が楽しめるのも大きな魅力です。

尾瀬ヶ原 紅葉の4大見どころ！黄金色の絶景

尾瀬ヶ原の紅葉は、遠くの山を眺める「観賞型」の紅葉とは全く異なります。その最大の魅力は、広大な黄金色の湿原の「中」を、木道を歩きながら体感できることにあります。

まるで金色の海原を散歩しているかのような、非日常的な感動を味わえるのが尾瀬ヶ原の秋です。ここでは、尾瀬ヶ原を訪れたら絶対に見逃せない、4つの絶景見どころスポットをご紹介します。

見どころ①：360度の大パノラマ！湿原一面が輝く「草紅葉」

尾瀬ヶ原の秋を象徴する、最大の見どころです。

9月下旬から10月上旬、約600ヘクタールにも及ぶ広大な湿原の草（ホザキシモツケ、ワタスゲなど）が一斉に色づき、あたり一面が「黄金色の絨毯」へと変わります。

その中を貫く一本の木道の上に立てば、視界を遮るものは何もありません。見渡す限り360度の黄金色のパノラマと、突き抜けるような秋の青空、そして遠くにそびえる至仏山（しぶつさん）や燧ケ岳（ひうちがたけ）の雄大な姿。この圧倒的なスケール感と開放感こそ、尾瀬ヶ原でしか味わえない感動です。

見どころ②：点在する「池塘（ちとう）」に映る逆さ紅葉

黄金色の湿原に宝石のように点在する、大小さまざまな池。これが「池塘（ちとう）」です。

池塘は、尾瀬ヶ原の景観にアクセントを加える重要な存在ですが、紅葉シーズンにはその魅力が倍増します。

風のない穏やかな日には、池塘の水面が鏡（水鏡）となり、周囲の景色を完璧に映し出します。黄金色に輝く草紅葉、鮮やかに色づいたナナカマドの赤、そして澄み渡る青空が、静かな水面に「逆さ紅葉」として映り込む光景は、息をのむほどの美しさです。

特に草紅葉の時期は空気が澄んでいることが多く、この幻想的な風景に出会えるチャンスも高まります。多くの写真家がこの一瞬を狙って訪れる、尾瀬を代表する見どころの一つです。

見どころ③：牛首分岐（うしくびぶんき）からの大展望

「牛首分岐」は、尾瀬ヶ原のほぼ中央に位置する、木道の十字路（分岐点）です。ハイキングコースの要所であると同時に、尾瀬ヶ原屈指の展望スポットでもあります。

ここからは、黄金色の草紅葉が広がる湿原の向こう側に、尾瀬のシンボルの一つである「至仏山」の美しい姿を真正面に望むことができます。「黄金色の草紅葉」と「雄大な至仏山」という、尾瀬の秋を代表する二大要素を一枚の写真に収めることができる、定番のビュースポットです。

広大な尾瀬ヶ原のスケールを最も体感できる場所の一つであり、多くのハイカーがここで足を止め、休憩しながら大パノラマを楽しんでいます。

見どころ④：アヤメ平（あやめだいら）｜天空の草紅葉

尾瀬ヶ原から少し足を伸ばし、登山口の鳩待峠から別ルートで約1時間半ほど登った場所にあるのが「アヤメ平」です。

ここは標高約1,900mに位置し、「天空の楽園」とも呼ばれる、まさに雲上の湿原です。尾瀬ヶ原よりも標高が高いため、草紅葉も一足早く（9月中旬～下旬）ピークを迎えます。

アヤメ平の魅力は、その独特の景観です。なだらかな丘陵地に草紅葉が広がり、その向こうに尾瀬ヶ原や燧ケ岳を見下ろすことができます。

ただし、鳩待峠からアヤメ平へのルートは登りが続くため、尾瀬ヶ原の平坦な木道歩きとは異なり、ある程度の体力が必要です。健脚向けのコースとなりますが、苦労して登った先には、尾瀬ヶ原とはまた違った、天国のような草紅葉の絶景が待っています。

尾瀬ヶ原 紅葉ハイキング！おすすめ定番コースとアクセス

尾瀬ヶ原の草紅葉は、展望台から一度に眺めるものではなく、黄金色の湿原の中を貫く木道を実際に歩くことで、その真価を体感できます。

尾瀬には複数の登山口がありますが、紅葉の時期に日帰りで「尾瀬ヶ原」のハイライトを楽しむには、群馬県側にある「鳩待峠（はとまちとうげ）」を拠点にするのが最も人気があり、効率的です。

ここでは、定番のハイキングコースと、紅葉期に最も重要となる「アクセス規制」について詳しく解説します。

王道！「鳩待峠（はとまちとうげ）」発 日帰りハイキングコース

鳩待峠から尾瀬ヶ原の入口である「山の鼻」まで下り、尾瀬ヶ原の中心部「牛首分岐」を経て「竜宮」まで歩き、同じ道を戻ってくるのが、日帰りハイキングの王道コースです。

• モデルコース：
  鳩待峠 →（下り約50分）→ 山の鼻ビジターセンター →（平坦約20分）→ 牛首分岐（うしくびぶんき） →（平坦約25分）→ 竜宮十字路 →（来た道を戻る）→ 山の鼻 →（登り約60分）→ 鳩待峠
• 所要時間： 約4時間半 ～ 5時間半（休憩時間を含む）
• 難易度： 初心者向け。鳩待峠～山の鼻間だけ登り下りがありますが、尾瀬ヶ原に入ればほぼ完全に平坦な木道です。
• ポイント： 帰りの「山の鼻」から「鳩待峠」までが登り坂になるため、最後の力を残しておく必要があります。

【最重要】紅葉シーズンの「マイカー規制」に注意！

紅葉シーズンの尾瀬を訪れる際、最も重要で、絶対に知っておかなければならないのが「マイカー規制」です。

尾瀬の自然を守るため、紅葉がピークを迎える時期（主に9月～10月の週末、祝日）を中心に、最も人気の「鳩待峠登山口」へ通じる道（津奈木～鳩待峠口）は、一般車両（マイカー、バイク）の通行が終日禁止されます。

車で来た場合は、麓にある「戸倉（とくら）駐車場」（群馬県片品村）に車を停めなければなりません。

戸倉駐車場からは、「シャトルバス」または「乗合タクシー」（どちらも有料）に乗り換えて、約30分かけて鳩待峠登山口へと向かいます。

この規制を知らずに鳩待峠へ向かおうとすると、ゲートでUターンすることになり、大幅な時間のロスに繋がります。必ず事前に「尾瀬保護財団」などの公式サイトで、2025年のマイカー規制日を正確に確認してください。

各登山口へのアクセス方法（群馬県側・福島県側）

尾瀬への入口は鳩待峠だけではありません。

• ① 鳩待峠登山口（群馬県側）：
  【尾瀬ヶ原への最短・人気No.1】前述の通り、戸倉駐車場に車を停め、シャトルバスでアクセスします。
• ② 御池（みいけ）登山口（福島県側）：
  【尾瀬沼へのアクセスが良い】「御池駐車場」（有料）までマイカーでアクセス可能です。ここから「沼山峠（ぬまやまとうげ）」行きのシャトルバス（マイカー規制区間）に乗り換えると、尾瀬沼へのハイキングが楽しめます。
• ③ 大清水登山口（群馬県側）：
  【健脚向け】マイカー規制はありません。「大清水駐車場」（有料）に停められますが、ここから尾瀬ヶ原の中心部までは片道3時間以上かかります。

公共交通機関（電車・高速バス）でのアクセス

車の運転や規制が不安な方は、公共交通機関の利用もおすすめです。

JR上越新幹線「上毛高原駅」やJR上越線「沼田駅」から、関越交通バスが運行されており、「戸倉（鳩待峠バス連絡所）」までアクセスできます。そこでシャトルバスに乗り換えれば、鳩待峠へ行けます。

また、紅葉シーズン中は、首都圏（バスタ新宿など）から「尾瀬戸倉」まで直行する高速バス「尾瀬号」なども運行されるため、非常に便利です。

【必須】尾瀬 紅葉ハイキングの服装と持ち物ガイド

尾瀬の紅葉ハイキングを計画する上で、最も重要なのが「服装」と「持ち物」です。

標高1,400mを超える高層湿原の秋を、平地の「紅葉狩り」と同じ感覚で考えてはいけません。9月・10月の尾瀬は、天候が悪化すれば「冬」そのものです。準備不足は、低体温症などの深刻な事態に直結します。

安全に、そして快適に黄金色の絶景を楽しむために、必須の装備を徹底的に解説します。

服装ガイド（9月・10月の気温は「冬」！）

紅葉シーズンの尾瀬（尾瀬ヶ原・尾瀬沼）の気候は非常に寒冷です。日中の平均気温が一桁（5℃前後）という日も珍しくなく、朝晩は氷点下（0℃以下）まで冷え込み、霜が降りたり、初雪が降ったりすることもあります。

必ず「重ね着（レイヤリング）」を基本とし、体温調節ができるようにしてください。

• アウター（上着）：
  ダウンジャケットや厚手のフリースなど、しっかりとした防寒着が必須です。風を防ぐため、レインウェアを一番上に羽織ることも有効です。
• ミドルレイヤー（中間着）：
  長袖のシャツや、薄手のフリース、セーターなど、保温性を高める服を重ねます。
• ベースレイヤー（肌着）：
  汗冷えを防ぐ「速乾性・保温性」のある化学繊維やウールの肌着を選びましょう。綿（コットン）のTシャツや肌着は、汗で濡れると体温を奪うため絶対に避けてください。
• ボトムス（ズボン）：
  厚手のトレッキングパンツが理想です。寒さに備え、下にタイツやサポートタイツを履くと安心です。
• 小物類：
  手袋（グローブ）とニット帽（耳まで隠れるもの）は必須です。これらがあるだけで体感温度は劇的に変わります。ネックウォーマーもあると万全です。
• 靴：
  防水性のあるトレッキングシューズ（登山靴）が必須です。木道は朝露や霜で濡れて滑りやすくなっているため、スニーカーは非常に危険です。

必須の持ち物リスト（熊鈴・雨具）

服装に加えて、以下の持ち物も必ず準備してください。

• 熊鈴（くますず）：
  尾瀬はツキノワグマの生息地です。自分の存在を知らせ、熊との遭遇を避けるために、熊鈴は「必須」の持ち物です。ザックなどに取り付け、音を鳴らしながら歩きましょう。
• 雨具（レインウェア）：
  山の天気は急変します。折り畳み傘は木道では使えません。必ず、上下が分かれたセパレートタイプのレインウェア（カッパ）を持参してください。防寒着としても役立ちます。
• 温かい飲み物：
  冷えた体を中から温めるために、魔法瓶（保温水筒）に温かいお茶やスープを入れて持っていくことを強くおすすめします。休憩時の快適さが全く違います。
• その他：
  ザック（リュックサック）、飲み水、行動食（チョコレート、ナッツなど）、地図、ヘッドライト（日帰りの場合も万が一に備えて）、ゴミ袋（ゴミはすべて持ち帰り）、健康保険証。

紅葉シーズンの混雑状況

紅葉がピークを迎える9月下旬から10月上旬の週末（土日・祝日）は、一年で最も混雑する時期です。

マイカー規制のかかる「戸倉駐車場」は早朝から満車になる可能性があり、シャトルバスや乗合タクシーに乗るためにも行列が発生します。

鳩待峠の休憩所やトイレ、そして尾瀬ヶ原の中心部（山の鼻～牛首分岐）の木道も、時間帯によってはすれ違いが困難なほど混雑することがあります。

この大混雑を避けるには、「平日に訪れる」のが最善の策です。もし週末しか行けない場合は、戸倉駐車場に早朝（午前6時～7時台）に到着するつもりで行動するなど、時間に最大限の余裕を持った計画を立ててください。

まとめ

この記事では、2025年に訪れたい尾瀬（尾瀬ヶ原）の紅葉について、見頃時期や見どころ、ハイキングコース、そして重要な注意点を詳しく解説しました。

尾瀬の秋の主役は、木々ではなく「草紅葉（くさもみじ）」です。広大な湿原が一面黄金色の絨毯へと変わる圧巻の景色は、まさに「天空の楽園」と呼ぶにふさわしいものです。

2025年の見頃は、例年通り「9月中旬から10月上旬」がピークとなる予想です。この時期、木道の上を歩けば、池塘（ちとう）に映る逆さ紅葉や、至仏山・燧ケ岳との雄大なパノラマを体感できます。

ただし、尾瀬の紅葉ハイキングには3つの絶対的な注意点があります。

1. アクセスの「マイカー規制」：
   紅葉シーズンの週末は、鳩待峠への道が規制されます。必ず麓の「戸倉駐車場」に車を停め、シャトルバスに乗り換える必要があります。
2. 服装の「防寒対策」：
   標高1,400mの9月・10月は、平地の「真冬」と同じ寒さです。氷点下になることも覚悟し、ダウンジャケット、手袋、ニット帽は必須です。
3. 安全の「熊対策」：
   ツキノワグマの生息地です。熊鈴（くますず）を携帯し、音を鳴らしながら歩くことが絶対に必要です。

週末は大変な混雑が予想されます。万全の準備と計画のもと、日本一とも言われる尾瀬の草紅葉の絶景を、2025年の秋にぜひお楽しみください。